Flower of Life

詩と
自分と
ポジティブに向き合う。

白樺

白樺 になりたいのです

あの子はいったそうなのです
それを聞いた教師はただ
おかしくて高笑いをきめこんだ


白樺になりたいだと?
面白いことを云ふやつだ
ああ面白い面白い
どう考えたらば
そんなことを云えるのか


その甲高い哄笑は
冷えた廊下にかつんと響く
それはそれは残酷で
公開処刑のやうでした。

あの子は顔をひきつらせ
声なき声でこう叫ぶ


そんなつもりで云ったんじゃあ
ありませぬ
きっと空に立つ白樺の
あの潔さが美しいと
そうありたいと
思っただけでございます


ちいさなあの子は唇を
きつくへの字にかみしめて
嘲笑を真上に受けとめた


傍らにいた友たちは
おかっぱ頭のひょろひょろの
震える手先が最後には
色をなくしてしまったのを
心配さうに見つめてた



あの子は今日どうしてる?
いぎたない大人のなかで
奇もてらいもなにもなく
あのまっすぐな白樺に
白樺になりたいのですと
云ふだろか