Flower of Life

詩と
自分と
ポジティブに向き合う。

身近な人には

私には私がない。


いまこの目の前の人に


ただ好かれようとする所がある


それだから話しの整合性を


必死で頭に巡らせて話し続ける


ほんとはトマト嫌いなのに


あの人の前では好きと言う


それをきちんと覚えておき


次に会ったときの話題で


矛盾がないように、


目の前の人の主張に背かぬようにと


それだけのために頭は常に回る。


それがなんと虚しいことか。




病気したと言った途端に


親友だと思っていた友はざまあないと笑い


大切にしていた身内は連絡さえ寄越さなかった



あぁ。どれだけ嘘つきだったんだろう。


どれだけ本性を見抜けない間抜けなんだ


自分の薄っぺらい本性を


みんな見抜いていたんだと


恥じ入るほどに理解した




未だに私は八方美人に気づいては


情け無い自分に途方に暮れる



ただ少しだけ、


気づけたことが進歩かもしれない。


そう思って自らをなぐさめる。

母への手紙

整理整頓が苦手な私は

資料を放ったらかしている事がよくある

写真も机の上に手付かずだ。

それなのに、つい窓を開けたら

パラパラと風に煽られて飛んで行った。

慌てて拾い集めていたら


…あれ、


封筒が机の下にある。


誰にもらった?


消印がない。


行き先を見ると


母に宛てた手紙だった。



一年前だろうか。


母の日に送ろうとしたのだろうか。


あの頃母はもう歩けなくなり、


酸素ボンベをつけて座っていた。


息も絶え絶えに、溺れるように。


それでも笑顔だった。


鎮痛剤を最期になるまで拒否して、


激痛に耐えながら笑っていた。





中を見ようか。


指先がさ迷う。



きっと、あの時の私もそうだったのだろう。


書いたけれど、封をしようかと


指は何度も空を彷徨ったのだろう。


頑張れ、


とも、


大丈夫だよ、


とも言えない思いを抱えながら。


何の言葉をかけても嘘になるから。



母の笑顔には諦めが浮かんでいて


母は覚悟を決めていた。


それがわかるから、


何も言えなかったんだ。


出せなかったんだ。



私は抗ガン剤を致死量打たれて、


術後の不調に苦しかった頃だった。


苦しかったからこそ、


母にも生きることを望んだ。


母が生きて治れば、


きっと治る病気だとみんなわかるからと。


今思えば何という身勝手か。


自分の生きるよすがを母に求めるなどと。


頭を、頬を打たれたような


痛みが胸に押し寄せる。




まだ、読めない。


指はまた、同じことを繰り返す。


切手を貼らず


封もせず


捨てもせずに空をさまよった。




手紙は、本棚の間にしまうことにした。



いつかまた



私は手紙を手に取るだろう。



その時



私の指はどう動くだろうか。



あの頃の自分の思いを



受け止められるだろうか。

やさしさ

優しさとはなに


傷つけてまで踏み込むのは優しさか


傷つけずに傍観するのは優しさか


優しい言葉をかけるのが優しさか


敢えて厳しくするのが優しさか


優しい言葉は舌に甘く


優しい言葉は安らぎをくれる


厳しい言葉は傷つくけれど


そこに思いやりがあれば


いつか優しさに気づく かも知れない


敢えて厳しい


それはその方なりの精一杯の優しさだった


ただ黙って包み込んでくれる人の


存在が無い私には


敢えて厳しい、がいまは


寒の戻りのように肌をさす